太陽光の卒FIT後はどうなる?売電が年20万→8万に落ちても家計効果が65%残った試算【一条工務店10kW・6年の実測】
太陽光を載せている家には、いつか必ず来る日があります。FITが終わる日です。
我が家は2020年4月に連系したので、2030年3月で21円/kWhの保証が切れます。この記事を書いている時点で、残り3年8ヶ月です。
「卒FIT後は売電単価が8円くらいに下がる」という話はよく見かけます。でも、それが自分の家計にいくらの穴を開けるのかまで書いてある記事は、ほとんど見つかりませんでした。
そこで、我が家の6年分の実測値で試算しました。結論から言うと、売電収入は4割に落ちますが、家計効果は65%残ります。そして蓄電池は、我が家の数字では元が取れませんでした。
先に結論|減るのは「売電」だけで、「節約」は減らない
卒FITの話が怖く聞こえるのは、売電収入だけを見ているからです。
太陽光が家計に効く経路は2つあります。①売って得るお金と、②買わずに済んだお金です。卒FITで単価が下がるのは①だけで、②は1円も減りません。
それどころか②は、電気代が上がるほど価値が増えます。我が家の2025年の数字で確かめると、こうなりました。
| 家計への効き方 | 2025年の実績 | 卒FIT後(8.5円の場合) |
|---|---|---|
| ①売電収入 | 199,311円 | 80,674円(▲118,637円) |
| ②自家消費による節約 | 136,059円 | 136,059円(変わらない) |
| 合計(家計効果) | 335,370円 | 216,733円=64.6% |
売電だけを見れば「40%に落ちる」ですが、家計全体では65%が残る。ここが、卒FITの話でいちばん抜け落ちている部分だと思っています。
我が家の太陽光の前提
試算の前に、条件を全部出しておきます。屋根の向き・面積・地域で発電量は変わるので、そのまま当てはまる家は少ないはずです。
| 搭載容量 | 9.87kW(屋根一体型・蓄電池なし) |
|---|---|
| メーカー | 一条工務店 |
| 初期費用 | 1,968,300円(税抜・見積書の実額) |
| 連系 | 2020年4月 |
| FIT単価 | 21円/kWh(10年固定・2030年3月まで) |
| 買取方式 | 余剰買取(自家消費した残りを売電) |
| データ出典 | 一条工務店の太陽光モニターの実測値 |
初期費用については、すでに回収が終わっています。2026年6月時点で累計の経済効果が2,019,187円=初期費用1,968,300円の102.6%。つまり卒FIT後に入ってくるお金は、単価がいくらであっても全部プラスです。ここは先に言っておきます。
卒FITはいつ来るのか|我が家は残り3年8ヶ月
FIT(固定価格買取制度)の10kW未満は、連系から10年で固定単価が終わります。我が家は2020年4月連系なので2030年3月まで。
残り3年8ヶ月のあいだに入ってくる売電収入は、年199,311円のペースが続けば約73万円です。この73万円は、卒FIT後には二度と同じ速度では入ってきません。
だから「卒FITは10年後の話」ではなく、いま何に使うかを決めておく話だと考えています。
①売電収入はいくらになるのか|単価別の試算
卒FIT後の買取単価は電力会社ごとに違い、まだ確定していません。そこで単価を振って試算しました。売電量は2025年実績の9,491kWhで固定しています。
| 売電単価 | 年間の売電収入 | FIT時(199,311円)との比 |
|---|---|---|
| 21円/kWh(FIT・〜2030年3月) | 199,311円 | 100% |
| 10円/kWh | 94,910円 | 48% |
| 9円/kWh | 85,419円 | 43% |
| 8.5円/kWh | 80,674円 | 40% |
| 8円/kWh | 75,928円 | 38% |
| 7円/kWh | 66,437円 | 33% |
どの単価でも、年間で10万円以上は減るという結論は変わりませんでした。月あたり約1万円です。
②それでも家計効果が65%残る理由
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
2025年、我が家は13,481kWh発電して、9,491kWhを売り、3,990kWhは自分で使いました(13,481−9,491)。この3,990kWhは「買わずに済んだ電気」なので、電気代を払わなくて済んだぶんが節約になります。
その節約額が136,059円。1kWhあたりに直すと34.1円(136,059÷3,990)です。
つまり卒FIT後の我が家では、同じ1kWhの価値がこうなります。
売れば8.5円。自分で使えば34.1円。その差は25.6円。
卒FIT後は「売る」より「使う」ほうが4倍の価値になります。
そして電気代が上がれば、この34.1円のほうも一緒に上がります。卒FITは太陽光の価値を半分にする出来事ではなく、価値の置き場所が「売電」から「節約」に移る出来事だ、というのが6年運用しての実感です。
③ただし、固定資産税は相殺できなくなる
いいことばかり書くつもりはありません。はっきり効くマイナスが1つあります。
我が家は固定資産税・都市計画税が年184,700円です。これを売電収入だけで賄うには、いくらの単価が必要かを逆算しました。
| 必要な売電単価 | 184,700円 ÷ 9,491kWh = 19.5円/kWh |
|---|---|
| FIT期間中(21円) | 199,311円 − 184,700円 = +14,611円(ぎりぎり賄えていた) |
| 卒FIT後(8.5円) | 80,674円 − 184,700円 = −104,026円 |
別の記事で「持ち家だけにかかる費用(年199,700円)と、賃貸では得られない売電収入(年199,311円)が、差引389円でほぼ釣り合っていた」と書きました。この釣り合いは2030年3月で終わります。
2030年4月からは、年10万円前後の持ち出しに変わる。そういう前提で家計を組み直す必要がある、と考えています。
④蓄電池は元が取れるのか|我が家の数字で逆算した
「卒FIT対策なら蓄電池」とよく言われます。理屈は正しくて、売電に回っていた電気を自家消費に振り替えれば、1kWhあたり25.6円ぶん得をします。
問題は、その25.6円が年間いくらになるかです。我が家の数字で計算しました。
| 売電→自家消費に振り替える量 | 年間の改善額 | 蓄電池100万円なら |
|---|---|---|
| 年500kWh | 12,800円 | 78年 |
| 年1,000kWh | 25,600円 | 39年 |
| 年1,500kWh | 38,400円 | 26年 |
| 年2,000kWh | 51,200円 | 20年 |
我が家の買電は年5,468kWh(消費9,458−自家消費3,990)なので、蓄電池で振り替えられる上限もこの範囲です。それでも、回収に20年以上かかるという結果でした。蓄電池の寿命を考えると、我が家では正直、成立しません。
もちろんこれは我が家の条件での話です。補助金が出れば年数は縮みますし、停電時に電気が使える安心感を金額で割り切れない人もいると思います。私自身、金額だけで決めるつもりはありません。ただ、「卒FIT=蓄電池」と反射的に決める前に、自分の家の振替可能量で一度割ってみる価値はあると思っています。
卒FITまでに我が家がやると決めたこと
- 売電単価の比較は2029年に入ってから——いま調べても、2030年の買取メニューはまだ出ていません
- 昼に電気を使う生活に寄せる——食洗機・洗濯乾燥・エコキュートの沸き上げを昼に動かせば、蓄電池を買わなくても自家消費は増やせます。ここは費用ゼロでできます
- 蓄電池は「補助金+価格」が変わったら再計算する——20年では買いませんが、条件が変われば数字も変わります
- 固定資産税ぶんの持ち出しを、いまから家計に織り込む——2030年4月から年10万円前後の穴が空く前提で考えます
これから太陽光を載せる人へ
我が家はFIT21円の世代なので、これから建てる人とは条件が違います。そのうえで、6年運用して言えることを3つだけ。
- 回収の計算に「自家消費の節約」を入れないと過小評価になる——我が家は2025年、売電199,311円に対して節約が136,059円ありました。売電だけで判断すると、太陽光は実力より小さく見えます
- 売電単価は10年で終わるが、節約は終わらない——しかも電気代が上がるほど節約側の価値は増えます
- 電気を多く使う家ほど有利——オール電化・全館床暖房の我が家は、自家消費の単価が34.1円と高くつきました。それがそのまま太陽光の利回りになっています
よくある質問
卒FIT後、売電収入はどのくらい減りますか?
我が家(一条工務店の太陽光9.87kW)の2025年実績は売電9,491kWh・199,311円でした。卒FIT後の単価を8.5円/kWhで試算すると80,674円で、FIT時の40%まで落ちます。単価7〜10円で振っても、年10万円以上減るという結論は変わりませんでした。
卒FITになったら太陽光は損になりますか?
我が家の場合は損にはなりません。初期費用1,968,300円は2026年6月時点で回収済み(累計の経済効果2,019,187円=102.6%)なので、卒FIT後に入るお金はすべてプラスです。また自家消費による節約136,059円は卒FIT後も減らないため、家計効果は335,370円→216,733円=65%が残る試算です。
卒FIT対策に蓄電池は必要ですか?
我が家の数字では成立しませんでした。売電を自家消費に振り替えると1kWhあたり25.6円(34.1円−8.5円)の改善になりますが、年1,000kWh振り替えても25,600円です。蓄電池が100万円なら回収に39年かかります。補助金の額や停電時の安心をどう評価するかで変わるので、自分の家の振替可能量で割ってみることをおすすめします。
卒FIT後の買取単価はもう決まっているのですか?
決まっていません。卒FIT後は電力会社ごとの自由なメニューになるため、2030年の単価は今の時点では確定していません。この記事の8.5円/kWhも確定値ではなく試算の前提です。我が家は2029年に入ってから比較する予定です。
まとめ
- 我が家のFIT21円は2030年3月で終了(2020年4月連系・残り3年8ヶ月)
- 売電収入は199,311円→約8万円(40%)まで落ちる試算
- ただし自家消費の節約136,059円は減らないので、家計効果は65%残る
- 卒FIT後は1kWhの価値が「売れば8.5円・使えば34.1円」に分かれる。使うほうが4倍
- 固定資産税184,700円を売電で相殺するには19.5円/kWhが必要。卒FIT後は年10万円前後の持ち出しになる
- 蓄電池は我が家の振替量では回収20年以上で成立しなかった
- 費用ゼロでできる対策は昼に電気を使う生活に寄せること
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